26歳で悪性リンパ腫になった生物系大学院生

混合細胞型ホジキンリンパ腫 (第4頸椎の生検) . 頸椎・腰椎・肩甲骨・腹部リンパ節に散在 (治療前のPET-CT). ABVD4コース時点で第4頸椎以外はPET陰性になるも, 5コース目では第4頸椎が増悪, ESHAPを1コースでSD, ICEを4コースでPR, その後は放射線治療46Gyで自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法になだれ込み, 社会復帰しつつアドセトリス15コース施行. 現在経過観察(2020/04). ~頸椎後方固定したおかげで首が動かせず、物理的に前向きなった(笑)~

大量化学療法後のPET-CTの結果と肺炎

初の寛解判定

自家移植後5週間後にPET-CTを撮りました. 結果は幸い, 第4頸椎へのFDG集積は有意ではなかった. リンパ腫の病変を疑うような別部位への集積もありませんでした. 遂に「寛解」の二文字を, 一時的なものであるかもしれないとしても, 得ることができました!

 

肺と胃へのFDG集積

しかし, 肺と胃にFDG集積が認められました. 実は, PET-CTを撮る前の1週間ほど, 右肺がゼーゼーしていて, 熱も出ていたのです.  予想通り, 肺炎になっているようでした. 胃については, 食欲不振などもなかったため, 思い当たる節は全くありませんでした. この肺炎らしき影と胃の集積を詳しく調べるため, PET-CTの結果を聞きに行ったその日に入院することになりました.

 

胃カメラ辛かった

胃のFDG集積について, 胃に炎症が起きているか否か, また炎症があった場合にそれはなんなのかを確認するための胃カメラと生検を行ないました. 結果, 胃にはまったく炎症はないことが明らかになりました. 検査を担当してくれた医師も「きれいな胃してますね」と褒めてくれた. PET-CTでは, 消化管の蠕動運動に応答してFDGが集積することがあるらしく, 今回の胃への集積はそれであろうという結論で, 胃に関しては無罪放免となりました. ただ, 胃カメラはめっちゃつらかったです. えずくと検査時間が長くなるから我慢してといわれても, そんなこと無理でした.

 

肺は器質化肺炎ということになった

肺のFDG集積について, 原因としては, 悪性リンパ腫の転移, ウイルス感染による肺炎, 細菌感染による肺炎, 免疫異常による器質化肺炎の可能性が考えられましたした. まず, 悪性リンパ腫の転移については, CT画像上での影がリンパ腫に典型的ではないということと, 第4頸椎以外にもかつてあった全身の転移については初回治療であるABVD療法の時点で全て消失させられているであろうということで, 完全に否定はできないものの有力候補からは除外されました. また, ウイルス・細菌感染については, サイトメガロウイルスマイコプラズマ, アスペルギルス, b-glucanなどはすべて陰性で, 血液培養でも特に何も検出されなかったということで, これらも原因の有力候補から除外されました.

消去法的に残されたのは, 自家移植後の免疫の異常による器質化肺炎でした. この可能性を検証するためには, 気管支鏡による検査やあるいは外科的に生検する必要がありますが, CT上で確認される影があるのは気管支鏡で届きにくい場所にあることや, 自家移植後の生着症候群がひどかったことなどからこの可能性の蓋然性が高いということから, 確定診断なしに, ステロイド剤(プレドニン)による免疫抑制を試みることになりました. その結果, 発熱と肺のゼーゼーが収まり, またレントゲン上での肺の影も薄くなったので, しばらくはこれで様子を見ようということとなり, 年の瀬ぎりぎりで退院できました. 2016年の年末は頸椎の後方固定術直後で, 病室で年を越したので, 家に帰れてとてもうれしかったです.

 

今後は1週間ごとに通院して, レントゲンを確認しつつ徐々にステロイドの量を減らすという方針になりました. 本来であれば, 器質化肺炎に対するステロイド剤投与は1ヶ月単位で減量していくものですが, 今回は自家移植後ということもあり, 免疫機能を落とし続けることのリスクを鑑みて, 通常より速いペースでステロイド減量をすすめることになりました. ステロイドが多いと感染が怖いので外出も不自由だし, 何より熟睡できないので, 自分としてもこれは都合がよかったです. とにかく肺が早く治って, それが少しの間だったとしても研究室に復帰してかりそめの研究生活を少し楽しみたいです.

 

2018年も当面はこのブログを続けていこうかと思っています. よろしくお願いします.

 

20190715

ですます調に変更しました.